萬年山 東陽寺

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過去を振り返り…コロナについて⑤

以前このブログ内でも紹介しましたが、約100年前に世界中でスペイン風邪が流行し、日本でも38万人が亡くなりました。このスペイン風邪のワクチン開発状況を振り返り、今後のコロナ問題をどう対処するか考えるTV番組を見ました。

 

【テレビ内容】

①ある医療関係者は家族を助けるため、効果が分からない血清注射を試みた。また効果を確認するため、自身にも注射を試みた。

②一方、大手のワクチン研究所ではワクチン開発の競争が起こり、世論の期待・政治的圧力などに押され、副作用・効果に疑問があるまま500万以上の摂取が行われた。

今の御時世、世論の期待・発言は政治に大きな影響を与えています。「ワクチン開発はいつになるのか」という疑問・期待が強くなりすぎると、どうなるか?世論の期待は政治家に伝わり、政治家は開発者にワクチン早期開発の圧力をかける。その結果、開発者は十分な検証・正しい判断が出来ないまま早期開発をする可能性が高まる…という内容でした。

 

国民の意思が政治を動かす事は良いことですが、今回は気を付けないと②と同じ結果を招きかねないと学びました。「ワクチン開発はいつになるのか」という期待と応援の気持ちは私も持っていました。しかし、今も昔も医療関係者・ワクチン開発者は①のように懸命に取り組んでおり、そんな極限に頑張っている方々に私達が必要以上に期待をかけることは良くないと感じました。期待や応援の気持ちより感謝の気持ちを強く持つべき、そして「いつワクチンができるのか」ではなく「ワクチンを開発する現場・環境は整っているか」という世論が強まり、②と同じ結果にならないよう祈ります。

 

 

同じTV番組から、もう一つ紹介したいと思います。スペイン風邪の患者の日記を振り返り、今後の問題にどう対処するか考える内容です。

 

【テレビ内容】

③日記を書いたのは12歳の少女。スペイン風邪で身近な人が亡くなり、最終的には自分もスペイン風邪にかかる。家族の死・自身の感染によって、彼女が精神的不安定になる様子が日記が残る。

感染症の問題というと、統計された数字・データは残っていても、今回のような個人の日記が残っているケースは稀だそうです。感染症の問題は、マクロな視点も大事だが、ミクロの視点も大事である…という内容でした。

 

現代、SNS等の発達により今までミクロな問題(個人の問題)だった事も、社会問題として扱われるケースが増えてきました。「個」が注目を浴び、情報が行きかうことは良い面もありますが、誹謗・中傷問題などのように悪い面もあります。もちろん個人に問題があり、世間から批判的な意見を受けるべきケースもあります。しかし忘れてはいけない事は、ネット社会は「個」を攻撃するためのシステムではなく、スペイン風邪にかかった12歳の少女のような不安を抱える「個」に社会が安心を与える場であるべき…理想論でありますが、そういった社会を目指すべきと改めて感じました。