萬年山 東陽寺

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住職のひとり言

心の健康のために

日経新聞連載『こころの健康学』の一部を紹介したいと思います。努力をしても失敗体験が続くと、自分の力のなさを感じて「どうせ何をやってもダメだ」と思い、無気力状態に陥りやすい。失敗の原因を探すことは悪いことではないが、やりすぎには注意。原因が分かっても解決に結びつかない場合もあり、自分を責める結果に繋がりやすい。更に辛くなる。また原因が見つからない場合もある。こういう時には、【原因探し】ではなく【手立て探し】をするように意識すると良いと述べていました。

 

仏教の有名な教えの一つとして縁起というものがあります。縁起(因縁生起):因(原因)と縁(条件)と果(結果)が相互に影響しあっている。この説明を見ると、原因を追究し条件を変えれば結果も向上するように聞こえます。しかし現実は縁なる物は無数に存在し、因と縁と果が複雑に関係しあっている世界です。論理的思考も大切ですが、因を正確に認識し・無数の縁を把握し・果をコントロールすることは至難の業です。私達が普段認識できている因・縁は表面的なものに過ぎないと言えるでしょう。そういった事を踏まえると、原因が分からなくても良い・手立て探しが良い・気分転換が大事ということにも納得いきます。

 

私自身は理系分野のほうが得意であり論理的思考が好きです。仕事をするときには「効率を上げるにはどうすればよいか」そんなことをよく考えます。上手くいかないときは原因を探して修正をする、効率的にできると気持ちがスッキリする、非効率・思い通りにいかないとイライラが溜まる…そんな生活を過ごしています。しかし私達は心という効率的とは言い難いものを誰もが持っています。効率的・論理的思考も良いのですが、私達は非効率な物・感情的な事にも上手に付き合っていかなくてはならないと思いました。