萬年山 東陽寺

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住職のひとり言

隠居

時代劇『三屋清左衛門 残日録』のテレビを見て、思うことを今回書きます。

 

家督を譲り隠居の身となった清左衛門、今の自分とついつい比較してしまいます。清左衛門は女房を亡くしていますが、息子夫婦に身守られ昔の仕事仲間と第2の人生を過ごしています。素晴らしい老後でありながら、清左衛門自身はこう語ります。
「人は若い時には戻れない。ボケを畏れ、時間をもてあそび、何故か不安に襲われる。」
「平常心を保つのに時間がかかる。」
一線から退いて隠居の身となりましたが、力が余り今なにをするべきか分からず、心が乱れると言います。

「仕事のグチを言っているうちが花だ。」

 

私自身は、清左衛門のような不安はありませんでした。癌との闘いのなか若い住職には日々引継ぎを、大黒とは毎日茶番の口喧嘩、時間を持て余すことなく過ごせました。時間の大切さと一度拾った命のありがたさで、不安を感じる暇がなかったのです。若い住職の成長ぶりを見守ることに喜びを感じ、一人黙々と作務に取り掛かりたいと残日録を見て強く思いました。