萬年山 東陽寺

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住職のひとり言

孤独・孤立

ある情報番組が『孤独・孤立』をテーマに取り上げていました。孤独・孤立が与える影響で死亡のリスクは26%・脳卒中のリスクは32%・認知症のリスクは64%上昇すると予測されているそうです。また番組内で孤独・孤立問題は個人責任問題か社会的責任問題かについても論議されていました。日本では孤独・孤立の原因を自己責任と考える人が4割いるそうです。一方、イギリスでは孤独・孤立の原因を社会問題と考える人が9割もいるようです。イギリスは2018年に孤独担当大臣が組織化され(日本では2021年に任命された)、対応策費用として28億円の予算が立てられています。孤独・孤立の問題を解決できれば医療機関負担軽減・社会活動の活性化など、経済効果が年間4.7兆円になると予測されています。

日本人が孤独・孤立の問題を自己責任と考える原因の一つは、『孤立・孤独の問題』=『家族の問題』だと考えられています。昔は大家族も多く、家族の輪の中にいれば親戚との繋がりも強かったと思います。また戦後はどの家庭も貧困で同じような環境の中で生活していたため、他の家庭との共有感・地域社会との繋がりも生まれやすい環境だったと思えます。家族の中で問題なく過ごせていけば、孤独・孤立を感じることは少なかったと予想されます。

しかし時が進むと都心部に出る人が多くなり、核家族化が進みます。そして近年は単独世帯化が増加傾向です。家族自体が孤独・孤立化しています。そこにコロナが発生しました。地域社会からの隔離・経済の2極化による貧困層増加・・・自己の力だけで解決できるとは思えません。政府にも社会的責任があり対応が必要だと思いますが、この問題に関しては当然お寺にも社会的責任があり行動が必要だと思います。お悩みを聞く・教えを広めるなど、活動範囲を拡げていけたらと考えています。「お寺は心のお医者さん」と思って頂けるよう、日々努めてまいります。