萬年山 東陽寺

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住職のひとり言

温室効果ガス削減と原子力発電

4月22日、気候変動サミツトが行われました。その中で菅総理は2030年度の温室効果ガス削減目標を、2013年度比で46%削減すると表明しました。2013年は東日本大震災が起き、原発事故が起きてからの2年後です。当時、原子力発電の安全・信用が失われたため、全ての原子力発電所に対して地震対策・安全点検等が実施されました。そのため、2013年度は原子力発電所の稼働をほとんど止めた年であり、その不足電力の代替策として火力発電に最も頼った年でした。

 

【2013年の電力供給比率】 火力系:約90%  原子力:ほぼ0%  再生エネルギー:約10%

【2020年の電力供給比率】 火力系:約75%  原子力:約5%   再生エネルギー:約20%

*再生可能エネルギー   太陽光発電・風力発電などのエネルギー。今の技術で再生エネルギーの電力供給比率を50%に上げると発電コストが約2倍。

 

今回表明した46%削減を実現するには、電力供給比率・原子力:約20%・再生エネルギー:30%以上が必要だそうです。そう考えると、今回の表明は原子力発電を強化していくと同意だと考えられます。福島や広島・長崎市の意見または原発ゼロを目指す運動に対して明確の回答がない中、今回の宣言に至ったと感じてしまいます。しかし政府も当然、以下の三点を悩んだ上での判断でしょう。

 

・このまま火力系発電を続ければ、地中温暖化が進んでしまう。

・原子力発電を強化すれば、日本の安全が脅かされる。

・再生エネルギーを急激に強化し過ぎると、発電コストが上がる。コロナで経済が不安定な中、電気代などの費用が上がる。

 

今回の温室効果ガス削減宣言と原子力発電の問題は綺麗事だけでは済まない問題であり、私達も少なからず犠牲・リスクがあると思います。私達が無関心ではいけません、政府の今後の判断・対応を知っていくことが大切です。

 

今コロナ問題で、政府は【安全】か【経済】かどちらを優先するか苦戦しています。基本的なスタンスは【安全】と【経済】の両立・バランスをとった方針を目指していると思います。今回の【温室効果ガス削減問題】と【原子力発電問題】も同様に両立・バランスをとった考え方が必要になってくるでしょう。しかし正しいバランス・判断を取り続ける事は難しいことです。政府のコロナ対応同様、今回の温室効果ガス削減・原子力発電対応にも批判的な声が上がってくると予想されます。それでも政府は逃げずに、きちんとした説明を続けて欲しいです。

政府は発願利生の精神(自分達ではなく、国民・地球のために行動する気持ち)を持ち続け、コロナ問題そして今回の問題に対応していく必要があります。また私達も自分達のことだけではなく、大きな視野を持ち、地球温暖化対策で出来ることは何だろうと考え行動する…その先にこの問題のゴールが見えてくるかもしれません。