萬年山 東陽寺

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住職のひとり言

ローマ教皇のお言葉より

 明けましておめでとうございます。本年も様々なテーマを発信していきたいと思います。
先日、前ローマ教皇葬儀のニュースを見て、私は現ローマ教皇が来日した時のことを思い出しました。2019年11月、広島・長崎で現ローマ教皇は核兵器の存在を批判し、平和のメッセージを残しています。「人の心にある最も深い望みの一つは、平和と安定です。核兵器を保有することは、この望みへの最良の答えではありません。むしろ、この望みを絶えず試練にさらすことになります」・「国際的な平和と安定は、相互尊重・奉仕への協力と連帯という世界規模の倫理によって実現可能である」など。更に東日本大震災被災者との面会や、青年との集いで人として大切な事を発信しています。「私達の最も影響する悪の一つは、無関心の文化です」・「最も重要なことは、何を手にしたかではなく、それを誰と共有するかです」

 現ローマ教皇の言葉は、親しみやすく解かりやすいものが多いと感じました。教皇様ほど影響力を与えることはできませんが、お経や禅語をはじめ仏教の難解なイメージを払拭し、皆様にも仏教に親しんでもらえるよう努力したいと思いました。ということで今回は『放下着(ほうげじゃく)』という禅語に触れたいと思います。まず言葉を区切って意味を考えてみると『放下(投げ捨てる)』と『着(命令の助辞)』となります、つまり放下着の意味は『いっさいの執着を捨て去りなさい』となります。私達は誰でも生まれた時は何も持っていないまっさらな状態で生れてきます。そして成長するにつれて知識を得て、社会に出て経験を積み、成功・名誉などを得ていきます。個人差はありますが、私達は物事を吸収したり得ていくことは得意ですが、一度手にした成功体験・知識・名誉など‥そういったものを手放すことは非常に苦手です。思い込み・こだわり・きめつけなど、そういったものを捨て去ることの大切さを説く言葉『放下着』、皆様にも何かしら思い当たる節があるのではないでしょうか?執着を捨て去り、自分の周りに目を向けて、ご縁に感謝して生きていくこと‥これはローマ教皇のお話と共通する部分が見えてくるかもしれません。